姑獲鳥の夏(2005年) | 勝手に映画紹介!?

姑獲鳥の夏(2005年)

姑獲鳥の夏



【鑑賞日:2005年7月16日


本日公開、「姑獲鳥の夏」の初日初回で鑑賞してきた。あの京極夏彦のデビュー作を完全映画化ということで話題になっている作品。珍しくコレは原作読んでるんですよね…といっても、まだ京極ブームがくる前、発売直後に。しかし、これ以降の京極作品は何冊か買ってあるのだが、分厚すぎて読んでない(笑) そんな浅い京極ファンですが…「姑獲鳥の夏」を初めて読んだ時の衝撃はけっこう憶えていて、あんな反則スレスレの微妙なオチをどう映像化するのか気になっていたところだ。

物書きの関口巽は…20ヶ月もの間、妊娠したままの産婦人科医の娘について調査をしていた。そんな摩訶不思議な出来事が本当にあるのか?関口は友人である古本屋・京極堂の主人・中禅寺秋彦のもとを訪れそんな相談をもちかけるのだが…。妊婦の夫の失踪…元看護婦の謎の死、新生児の誘拐事件…すべての事件の鍵は妊婦・久遠時梗子の父が営む産婦人科久遠時医院にある!

正直、ほどほどの京極ファン、実相寺ファンの両者しか楽しめない作りになっているのは残念だが…自分は両方ともほどほどに好きだから、けっこう楽しめた映画だった。原作を読んでいないような映画ファンから相当辛口評価が出てるみたいだし…古臭いアナクロな実相寺演出にも、馴染めない人もいるようだ。確かに、自分も原作を読んでいなかったら…話についていくのが大変だったかもしれない。原作を読んだのは10年以上前なので、細部はかなり忘れているが大まかな筋やオチがわかっていたので、京極堂たちの思わせぶりなセリフなどで段々を記憶が蘇ってきて、作品についていくことができた。

原作を読んでいると、主人公らしからぬ、あの超むかつく京極堂のふてぶてしさが、なんとも上手く表現されていて楽しいのだが…下手するとシャーロック・ホームズ以上の変人ですしね(笑) この偏屈キャラを好きになれないと…ほとんど一人舞台となる謎解きシーンなど、退屈に感じてしまうかもしれないですね。

京極堂こと仲禅寺秋彦の妹であり、雑誌編集者の敦子を演じた田中麗奈が…いつもと違った可愛さが出ていたようにも感じた。ベレー帽被って、探偵まがいに色々と調査、報告しているところなんて…少年探偵っぽい雰囲気(そういえば、実相寺昭雄監督の「D坂の殺人事件」で小林少年を演じた女優・三輪ひとみが死体役で出ていた)で…なんか好きだなぁ。最近は田中麗奈もなんだか色気づいた役が多くなってきたのだが…デビュー間もない頃の、可愛いらしいという表現が似合う役を久しぶりに見れたような気がする。(25歳にもなる女優さんに、可愛いなんていうのは失礼かもしれないが)

原作者、京極夏彦の…カメオ出演を超えた芸達者な演技にビックリ。過去にも、自分の原作が映像化された作品や…江戸川乱歩の生誕100年記念の文士劇“ぼくらの愛した二十面相”などで演技経験はあるが…今まで以上に上手になっている(笑)京極先生が出てきた途端、ある漫画のキャラクターソックリだなぁって思ったら、やっぱり!京極ファンならすぐに察することが出来ると思いますが…エンディングロールを見て、思わずニヤリです。

有名、人気俳優を中心に…お笑いタレントまで豪華で多彩なキャスティングだが…こういう映画には珍しく、自分好みのキャスティングが揃ったと思いますね。これだけでも良かったかなぁ。阿部寛だけ…なんか相変わらずやりすぎてて、「トリック」みたいになっていたのが、“俺のイメージした榎木津じゃねー!”って、ちょっとだけ不満に思ったところです。やたらと大作邦画に出ずっぱりで、正直うんざりだった宮迫博之(雨上がり決死隊)も、「クロスファイア」の、テレキネシスで操られて自分で自分の顔を殴る通行人役以来、いいなぁって思ったし…恵俊彰(ホンジャマカ)も意外と渋い演技していた(なんか、でかいスクリーンで見ると、おでこの後退具合がちょっと気になった)。

作品が作品なんで…あまり内容について記述しない方がいいと思いますので、出演者についての感想を中心に今回は語ってみた。

監督:実相寺昭雄 原作:京極夏彦
出演:堤真一 永瀬正敏 阿部寛 原田知世 田中麗奈 いしだあゆみ 宮迫博之 

【関連書籍】

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分冊文庫版 姑獲鳥の夏 上
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妖怪映画夏の陣―京極夏彦『姑獲鳥の夏』VS『妖怪大戦争』





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